猶予の月

友人のtieにマイベスト的な本をしつこく聞いて、結果借りた本が神林長平「猶予の月」。
とりあえず読み終わった第一感想は「なるほど、これが生粋のSFか」
つーかtieの良く引用する言葉とか普通に書いてあって、
彼自身も言ってたがホントにこの本に影響受けてんだなぁと思った。顔がちらつく。


僕は割と高校時代は角川ホラー買い漁る(ウエットな意味の)キモオタで、
その中にはSF風味の作品がいくつかあったので、この本を読む前はまぁこんなもんか的に
SFというジャンルをなめてた節があった、ような気がする。今思うと。
ファンタジーでも世界設定は良く弄られる項目だが、ラノベ的に収まりよく話をまとめるのでは無くて、
ミクロに無限小、マクロに無限大といった無限かゼロの極端な話をこの物語は常に展開として持ち出してくるから
スケールが大きすぎて中々思考がついて行かない。ホラーで書かれる程度の無限大を軽く超えている。話のスケールが。
ほんと「なるほど、これが生粋のSFか」といったところ。
ストーリー自体は地獄のハッピーエンド好きとしては、禁断にならなくて残念無念と感じるのは、読み込みが浅いせいか。つーか締めくくりがそこはかとなく空虚なのはSFの常と勘ぐって良いよね?


とまぁこんな感じか。
あとはもやもやと
ハッカーになるにはの7章に書いてあった「SFを読め!」がまさにこれだなぁ
・やっぱ行動は思考よりも下位の原理なんだろうなー(でも思考単独でやってけるほど人間は出来てないなぁ)
・神林さんは自分の作った設定に振り回されないぐらいの執筆力があって安心して読めるなぁ
とか思いつつ読んでた。
もちろん吐き気は催さなかった。
それなりには楽しめたけど、彼のように行動原理にまで影響受けないのは、すでに僕の器が定まってしまったから?
いずれにせよ多感な少年(青年)期に僕がムカツキながら村上春樹の「羊を巡る冒険」を読んだとように、彼も自己に大きく影響を与える一冊の本に出会っていたことを感じ、僕はそのことをとても喜ばしく思う。ナイスベスト本!